パンの石窯を耐火レンガで作るためには、レンガの間の目地の間に陶器の破片などを入れて、ぎゅうぎゅうにする必要がある。割れて売り物にならない陶器や植木鉢などを分けてもらうために、県内の陶芸家の家におじゃまさせてもらった。

その陶芸家さんはとても素敵な方だった。「捨てるものばかりだから、全部持って行ってくれたら僕も助かる」と後押しを何度もしてくれなければ、こんなに立派なものをタダでもらうのは申し訳ないと思うくらい、味のある作品を大量に受け取ることになった。
陶磁器の大好きな僕らは陶磁器を客間に並べて、うっとり。
石窯の目地に使う割れた破片と、古くなって取り替えた耐火レンガがもらえたら、有り難いなあと思って出向いたのに、美しいいろいろな作品をいただくことになった。
その他にも素焼きのものや、作品を焼くときに灰がかからないように使う容器や、耐火モルタルや、超軽量の大きい耐火レンガなど、軽トラいっぱいにいただいた。本当にありがとうございます。
このような方が応援してくださると、早くパンを自分の窯で焼いて、お返ししたいと、意欲がわいてくる。
思えば僕はずっとこんな人生です。出会う人みんなが、助けてくれるのです。海外や日本を旅していた頃から、感謝で目頭が熱くなることばかりでしたが、徳島に移り住んでからも、僕が出会った人は皆そうです。
屋根修理で赤土が必要になった時も、屋根の土やさんに行ったら、藁を混ぜてすでに練ってある赤土をバケツ20杯分ぐらい、ただで分けてもらったし、瓦やさんは、お盆休みにもかかわらず、僕らのために一人出社してくれて、さらにサービスで5枚ぐらい余分に分けてくれたり、瓦専用セメントをプレゼントしていただいた。それから石窯製作の耐火レンガ購入の相談のために、訪れたレンガやさんは、そこで購入するつもりはないのをわかっていながらも、耐火レンガについてや、道具についてや、作り方についてなど、いろんなことを教えていただいた。本当に出会ったすべての人が僕らを助けてくれます。