屋根修理其の弐。瓦をはずし、その下の木材をはずし、新しい木材を取り付ける。つまり屋根部分の一番縁の瓦がのっかる部分の板である。屋根を支える垂木と破風板の上に取り付けてある、木材を取り替える。
破風板が曲がってしまっているために、新しい木材がぴったり合うように 曲線に削る。この上に瓦と、それを固定する赤土をいれると、かなりの重さになる。そのために月日が経つと段々その重さが支えられなくなり、板がはずれて、瓦がずれてしまったのだろう。今回僕は板の上を少しでも軽くするために、発砲スチロールを、土の代わりに挟み、瓦を固定した。さらに取り付けた板と破風板とを、鉄のL字留めで補強した。
いつも思うのだが、修理することはとても大変だ。自分が製作したものでないし、設計図もない。長い年月を経て、木材にしろ、石材にしろ、変形、破損している。修理するなら、真っ直ぐに丈夫に作り直したいと強い意気込みがあっても、家全体、つまり当初の製作の時から、ずれているものだから、直しようがない。それでも工夫してひとつずつ直していくしかない。
それでもこの家と、この家を建築し、リフォームしながら、守り続けてきた元の住人の方には感謝したい。昭和40年頃、家事で全焼したこの家は、集落の人の力を合わせて、建てられた。そしてその頃中学生ぐらいだった少年が育ち、大人になりこつこつと自分で増築していったのだ。大工は本業ではないのに、器用にいろんなものを作られて、今でも集落にみんなは「あの人は器用だったんだよ」と褒め称えられている。一生懸命手作りで作ったこの家を僕も守り続けていきたい。だから寸法やズレに、独りごちながらも、ていねいに修理していきます。
いよいよあとは瓦をのせるだけ。完成は目の前です。