朝いつものように、六時前に目が覚める。雨音の美しい旋律。慈雨じゃ、甘雨じゃ! やったぁー、野良仕事お休みの日。オフの日だぁい、とにんまりして、再び布団をかぶり、瞼を閉じる。野良仕事は陽射しがしんどくない朝と夕方に限るから、朝早く起きること、夜更かししないことが、大切な課題になる。だから、雨の畑オフ日は朝が遅くていいのだ、えっへん。
けれどオフ日と言っても、やっぱり畑以外の仕事はある。それがこの僕らが望んでいる暮らしである。
まずは蕗の佃煮、伽羅蕗の仕上げ。昨晩からの引き続きで計八時間ぐらい煮詰めて、水分が鍋底から消え、真っ黒になった。美味しく甘辛くできあがった。伽羅蕗は地方によって、色も味も作り方も保存期間も違う。僕はすっと持つ保存食品として作りたかったので、親父の故郷、阿蘇や大分の親戚の伽羅蕗を目指した。水分は少なく真っ黒で、甘辛く、保存が一年間ぐらいできるものだ。
写真は昨日の夕暮れ時。薪をくべて大鍋で炊く↑
蕗はお隣から大量にいただいた。ありがとう、じいちゃんばあちゃん。美味しい伽羅蕗にして、お返しするね。
今日は一日中、雨の強さに変化がなかった。春に終わりを告げるかのような春霖。いつ見ても同じ調子でずっと降っていた。畑や蒔いた種、植えた苗、そして僕らを潤す、天からの恵みに感謝しながら、次は大工仕事。寝室の棚を桜の枝と、杉の板で作った。おやすみ前の読書のためのちょっとした本棚。いやぁ♪ 味わい深い棚になりました。こんな調子でいろんなものを大工している日々である。早くパン屋とカフェの中のインテリアに手をかけたいものだ。
それからも仕事は他にもまだまだ続き、最後は母の日のための蒸しパン作り。
ありがたいことに、美郷大野には、自分たちの母親以外に、母親のように慕っている「母さん」がいる。
しかもお二人もいてくれる。いろんな事を教えてくれたり、野菜やおかずを分けてくれたり、僕らの話をいつも笑って優しく聞いてくれて、時に厳しく的確なアドバイスを与えてくれて。その二人の「母さん」に日頃の感謝の念を込めて、プレゼントしたい。ということで、自分達で作った黒豆の煮豆と、ハッサクのピールの蒸しパンを焼き上げた。
いつも手作りのお野菜やおかずをいただいてばかり。僕らがお返しできるものと言ったら、いただいた素材を美味しく加工したものぐらいだ。でもそんなお返しができる時が一番嬉しい。買ってきたお土産を贈るよりも、いただいたものや、自分たちで収穫したものに手を加えて、美味しく仕上げた手作りのものを渡せるということの喜びは大きい。
よっしゃー!!上手く焼けたよ。伽羅蕗と黒豆ハッサクピールの蒸しパンを明日プレゼントできるぞぉい。わくわく。