今日はお昼からしとしと雨が降り続いて、畑仕事はお休み。
こんな日は、しゅうも私も、心の中でニヤニヤしながら、それぞれ自分のしたいことに没頭する。家中が雨の音に包まれて、とても静かで、それはそれは集中できるのです。
しゅうは土間で鋸やトンカチの音を響かせながら、流木でなにやら作り始めたようだ。私はダイニングに腰を下ろして、まだ3時を回ったばかりだというのに、晩ご飯のことに思いをはせ始める。
晴れの日はいつも、畑に出ていたらいつの間にか日が暮れている。それから慌ただしく夕飯準備をするので、なかなか落ち着いて料理ができない。もちろんそれでも、新鮮な食材を使ったご飯は、いつだって美味しいのだけど、あれこれ思い浮かぶアイディアをなかなか試せなかったりする。でも今日は雨だから、ゆーっくりごはんのことができるのだ!
最近毎日のように台所を潤してくれているのが、上のじいちゃん、ばあちゃんからいただく筍と蕨だ。昨日も、結構伸びた筍を何本ももらったので、また、庭の大鍋に湯を沸かしてあく抜きした。
丈が肘から先くらいもあるのだが、とても柔らかい。下の方(竹になりかかって、うっすら黄緑色になっている)は、節の部分だけ取り除いたら、えぐみも少なく、美味しく食べられるのだそう。今朝方、早速、アクが抜けたばかりのその部分をきんぴらにしたら、ほどよく繊維がわかって、まるでメンマのよう。これがメンマなのかなあ?きっとそうだね。といいながら、我が家の新メニュー”筍きんぴら”を美味しくいただいた。
じいちゃんの土地はとても広くて、あちこちに竹林がある。じいちゃんちだけではとても食べきれないと言って、うちの近くにある竹林の筍は、自由に採っていいよ、といってくれている。生えてきたら困るような道にも、筍くんたちは威勢良く頭を出してくるので、竹にならないようにせっせと採らなければならない。都会にいたら考えられないことだけど、旬になると、食べきれないくらい筍が採れるのだ。
そんなわけで、ここ数週間、毎食のように筍を食べているのだけど、同じ煮物ばかりで少し飽きてきたなあ、ということで、考え出したのが青椒牛肉絲の筍版(お肉はありません。)のような、きんぴらだ。しゅうシェフのアイディアと調理で、朝からたっぷり作って、上のじいちゃんばあちゃんと、下のお二人の昼食に、とお裾分けした。いつもたっぷり野菜をもらったり、畑のことを助けてくれる心ばかりのお礼として…。
はてさて、冷蔵庫にはまだまだたっぷりの筍がある。もちろん夕飯もこの筍たちを美味しく食べたい。
また、今日は下の”お母さん”から大きな人参とネギをいただいたし、昨日採ったばかりの蕨と、じいちゃんが分けてくれたしいたけもあるんだ。今日は特別食材が充実しているぞ~!
雨音を聞きながら、ゆっくりゆっくりしたくをする。筍と蕨と人参で、山菜ご飯を炊こう。人参としいたけと筍は、少し甘酸っぱく炒め煮しよう。ばあちゃんにもらってた割干し大根と一緒に。白くて太いネギは、ざくざく大きめに切って、お味噌汁にしよう。…
いつの間にか日が暮れて、しゅうの作品も完成した頃、ご飯になりました。
冷えた身体を黒糖焼酎のお湯割りで温めて、温かいご飯をもりもり食べる。美味しい!ゆったり過ごしたお休みの日の味がした。
夕飯のあと、霧雨のしっとり降る中、上のおうちに、明日の朝ご飯にと、夕飯の残りを届けにいった。ばあちゃんが腕をけがしているから、治るまでの料理が大変な間は、なるべく作ってあげたいと、たくさん作ったら届けている。作ってあげるといっても、その食材はほとんどじいちゃん畑のものなんだけどね。じいちゃんばあちゃんが嬉しそうににっこり笑ってくれるととても嬉しい。いつもいつも、ご近所の人みんなが親切にしてくださるけど、私たちはまだ、そのいくらもお返しすることができない。でもこうやって、いただいたものを美味しく加工して、という方法で、じいちゃんばあちゃんが少しでも喜んでくれることができるのは、嬉しいなあ。
まだ更け始めたばかりの夜の帰り道を、霧と闇が優しく包んでいました。
(byまりこ)